■夕刊フジ掲載記事 (2005.10.12) 

【大人の身だしなみ】
 ふんどしの人気復活に続いて、今度は日本伝統の
越前和紙を100%使った下着が注目を集めている。何より肌にやさしいのが特長で、アトピー性皮膚炎で泣き叫ぶ幼児もピタリと泣き止むそうだ。究極の天然素材のメリットとは?

★4年の歳月をかけ
 越前和紙で作られた下着といっても、見た目は布製そのものだ。
綿よりもサラサラとした感触がある。おまけに洗濯してもOKというから、本当に和紙100%なのかと疑いたくなってしまう。
 そんな疑念を晴らすかのように、この素材を生み出した協和テキスタイル(福井県)の笠嶋博社長が、開発の経緯を語った。
 「福井県には越前和紙の文化が育まれており、ある医学博士から『和紙素材は肌にいい』といわれたのが、開発のきっかけです」
 だが、簡単ではなかった。
 「最初は、和紙をこよりのように糸にすれば、簡単にできると思ったのですが…」
 こよりにしただけでは、伸び縮みがなく編み物には不向き。笠嶋社長は試行錯誤を繰り返し、開発から4年目にようやく越前和紙100%の糸と編み物を完成させた。水に溶けないし、洗濯もできるという。
★刺激が少ない天然素材
 実験によって、
綿よりも通気性や保湿性に優れていることが明らかになり、笠嶋社長は、まず福井県内だけでタオルを販売することにした。すると、リピーターが続出。県内での認知度が高まったことから、下着での全国展開を決めたという。
 「アトピー性皮膚炎で夜泣きの激しいお子さんをお持ちのお母さんから、越前和紙100%の素材を試したいとの申し出がありましてね。Tシャツをお渡ししたところ、3日後には夜泣きがなくなったといわれました。肌にやさしいものなので、下着にも向いていると思います」(笠嶋社長)
 越前和紙100%の下着にはこんな特徴がある。
(1)
保湿性
(2)
通気性
(3)
ムレない
(4)
強い
(5)
軽い
(6)
静電気が起こらない。
いいことずくめ
なのだ。
★医師も評価
 では、皮膚にはどんなメリットがあるの。東大医学部大学院で皮膚科学を修めた葛西皮膚科(東京都江戸川区)の小林明博医師は、下着と肌の関係を次のように説明する。
 「敏感肌の方は、ちょっとした刺激でしっしんができてしまいます。布などの摩擦、こすれる、汗で蒸れる、紫外線といった刺激で掻いてしまうと、ひどくなってしまう。そういう刺激が少ないという点では、天然素材の下着にはメリットがあるのではないかと思います」
 女性と比べて、男性の場合は、下着の素材などに無頓着なケースが多い。あまり選ばずに着けていることもある。化繊など蒸れやすい下着を着けていると、どうなるのか。
 「インキン、タムシができいやすい。また、高齢層は股ズレも引き起こしやすくなります」(小林医師)
 汗をかきやすい夏場だけでなく、これからウォームビズで厚着をしたときにも、ムレムレの下着を着けていると、大事な部分に悪影響を及ぼす。下着選びは季節に関係なく重要だ。
小林医師はさらに、和紙下着について、環境ホルモンの吸収能力が優れている点や、水分の吸放出による寒暖の調節機能などを指摘している。